HAPPY DAYS
「昨日から何処で何してたのかすら、君代に教えてくれないのに、変わらないなんて…難しいと思う」


「そんな事…」


「いいの。もしそうなった時、純が苦しまないように、先に言っといてあげただけだから」


「…」


「それでも君代は純が大好き。そうだ、冷蔵庫にプリンがある。食べようか?」


君代はキッチンに向かった。


「実はね、このプリン、今夜のデザートに君代が作っておいたの。…美味しい?」


「うん、美味しい」


「よかった、じゃあ君代の分まで食べて」



…君代は本当にマジでガチでオレを好きなんだな。



誰を選ぶかが重要なんじゃない、選べないのが問題なんだよ



頭の中で、毅の言葉が聞こえて来た。


オレは確かに君代を選んでいた。
バレリーナを諦めた君代の話を聞いた時に、
「結婚しよう」
とプロポーズした時に、
そう既にあの時に、
誰でもない、君代を選んでいたはずだ。


君代のオレへの強い思いや、大野家の居心地の良さは、
オレがずっと望んでも得られなかった、あたたかい家庭そのもの。


君代と結婚してもいい、と思ったのは、
泣いている君代をあやすばかりではなかったはずだ。
自分の理想の家庭への憧憬ではなかったか?


あの後いろいろあり過ぎて、気持ちが揺れたけど、
以前、紀子とは上手くいかなかった。
それは間違いない。


どんな消極的理由であってもいい。



オレは大野君代を選ぶ。






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