HAPPY DAYS
その時ふと思い出した。


クラス委員を決める時、数人の男子が目配せしてから
花巻を推したことを。


花巻は素知らぬように
「面倒臭ぇ」
と笑っていた。


すると花巻の彼女で、「しずかちゃん」的存在の
瀧澤紀子が

「花巻くん、嫌なら私やるよ」
と神経質な震える声で言った。

あれは怒りを懸命に抑えていた声。


花巻は形のいい眉をぴくぴく震わせ、返事をしなかった。


花巻が目立つ容姿なのをひがみ、真面目な性質故の痩せ我慢をからかい面白がる
程度の低い連中。


嫌がらせ受けても
気付かない振りでカッコつける男。
そんな彼を必死に守ろうとする彼女。


そうゆう図だったのかな、と今ふと感じた。


結局、瀧澤がクラス委員を引き受け、何もなかったように3年はスタート。


でも確かに春の嵐は巻き起こっていた。


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