HAPPY DAYS
「…ごめんなさい、あんなこと言ったから、心配させちゃったよね」


長い沈黙の後、瀧澤がゆっくり喋り出した。
ハーブティーと同じ爽やかな甘さがある声。瀧澤が好きな色はペパーミントグリーンかも、と感じた。


そんな声だった。


「気にしないで…」


「気にするよ。花巻くんにフラれて毅くんに頼って、なんて…あんまりにも格好悪い」


「花巻にはフラれてないし、瀧澤からボクに頼って来てないでしょ?気にしすぎだから。それより今は自分が大変なんだから」


「なんだか毅くん、カウンセリングの先生みたい」


そう言って瀧澤は笑い出した。


「そう思いたければ思っていいし。ただ、瀧澤の顔見たかっただけだから」


笑い声があんまりカラッとしていて、瀧澤を知らない人なら、ちっとも悩んでいないように見えたろう。


でも、ボクは瀧澤を知り始めている。


だからボクにはそんな頑張りが、透明な悲しいバリアに見えた。


瀧澤の心が透けて見えてるよ。


思わず立ち上がって、瀧澤の頭を後ろからクシャッと撫でた。





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