HAPPY DAYS
紀子 DAYS 3
骨が出るんじゃないかと思うくらい身体を洗ってバスルームから出たら、
さすがに花巻君はいなかった。


花巻くんがいないのは当然。


きっとママに何かされたのかも。


嫌な思いをしたばかりだから尚更
真面目で奥手な花巻君に対して、
自分にばかり夢中でママのとこに放置してしまったことを後悔した。


花巻君なら絶対ママの毒牙にはかからない、はず、多分。


ママのそんな場面を初めて見てしまったのは、
小2の頃
学校から具合が悪くて早退した時、私はその人が急いで出ていくのを見た。


その人はママより10歳は年上の感じのおじさんで、別れ際、ママの唇にキスをして、愛おしげに頬に触れた。

私が見てるとも知らずに。




2度目は違う人だった。
小6の夏休み、友達の家に泊まりに行き、免許取り立ての友達のお兄さんが私達をドライブに連れ出した。
高速道路で抜かした見馴れぬクルマに
何故かおやっと思い振り返ると助手席にはママがいた。


ママは隣の若い男性の肩にしな垂れかかっていた。


みんなお兄さんの運転が怖い怖いとキャーキャー言って
気付かないのが救いだった。


クルマが遠ざかる事に安堵しつつ、私もキャーキャー言うことにした。


1番最悪だったのは、中2の担任の先生。
若くてハンサムで優しくて、私の初恋だった。
だから家庭訪問は部活をサボって急いで帰って来たのだ。


しかし帰らなければ良かった。


その事件にはそれしか言えない。


私が好きだって知っていて、ママは言えないような事を平気で出来る人。


花巻くんに対しても、
蛇がチラチラ舌を出してるみたいに、狙っていたのはわかっていた。


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