HAPPY DAYS
「あ、ちなみに、携帯番号は純から聞いたけど、ストーカーしないように削除しとくから、安心して。じゃあ、謝ったし、明日学校で会いましょう。…学校来いよ」


あんなことがあったから心配して電話くれたんだ。
ショックを受けてると思って。


「違うの!」


切ってほしくない!
そう思ってほとんど上擦ったみたいな声になっていた。


「違うの。私、泣いてたのは、…花巻君が昨日、他校の子と腕を組んで歩いていたって聞いたから、不安で…。山浪君、何か聞いてる?」


「え?あ…なにも聞いてないかな。」


引き留めたいが為に真実を織り込んで嘘をつく。


いや、あの時は確かにそれを気にしていたのだから、嘘ではない。


自分に言い聞かせて、更に言葉を重ねる。


「山浪君に相談したいな、いい?明日二人で会えないかな?」


山浪君の沈黙が続いた。


その間自分の心臓の音だけがバクバクと聞こえる。


「…じゃあ、明日昼休みにちょっとなら」


やった。電話を切ったがまだ心臓の脈打つ早さは治まらない。


何か変な高揚感。


私にはママの血が流れてる、とどす黒いモヤのようなものが足元から立ち昇るように感じた。


途端に今入れたばかりの明日のスケジュールが
私に重たくのしかかる。



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