HAPPY DAYS
目が覚めたら
問題の昼休みになっていた。



純が隣でやたらボクの弁当を褒めちぎる。


お母さんが作った弁当は確かに旨いが
純の弁当みたいな豪華なおかずなら、羨ましがることもないだろうと軽く返すと、
あっという間に笑顔が陰った。


ローストビーフに尾頭付きの車海老フライ、コンソメスープ付きのジャー弁当。


「…オレの全部出来合いだからさ〜、毅の手作りの弁当いいよ。」


「今時みんな冷食とかでしょ?出来合い全然問題ないから」と軽く答えると


「…てかオレ愛されてなくね?」

…重い答え。

アホ!愛されてるよ!甘えんな!


の代わりに

「多分ね」

と言ったら、ガッツン落ち込んだからびっくりした。



こいつ、本当、深いか浅いか読めんな〜。



食べ終わってちらっと紀子を見たけど知らん顔で友達とプリンを食べてる。


何なん?!



そしてみんなでトイレットタイムらしく消えて行った。



…すると、突然ボクの携帯が震えた。



見ると紀子から電話。



「もしもし?」



「山浪くん、体調悪そうだし今日は…。心配かけてごめんね。また3人で塾行こうね」



「はあ」



物凄い早口で電話はすぐ切れた。



ちょっとホッとした。
真知子さん、このコはどっちのタイプでもありませんでした。



とにかく、引きずらんと元気になってよかったよかった。



「ねえ、電話誰?もしかして昨日話してた好きな人とか?」


からかってるつもりの純に何か突っ込もうとしたら、今度は純の携帯がブルブル。


「純、電話だぞ。」


余りに放置してるので、声をかけると


「これは出たくねえし」


と前髪をクルクルと指で弄ぶ。


尚も震え続ける携帯を純に突き付け、



「嫌なら嫌なりに、出てちゃんと言ってやれ」


と諭すと、さすがに嫌々だったが受話器を取った。


「はい、花巻ですが」
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