HAPPY DAYS
授業中も歌詞ばかり考えて、英語の時間突然当てられ、まごついた。


毅は横目で「HAPPY DAYS」と言う文字で埋め尽くされたオレの映画のノートを認めると、
ニヤニヤしながら答えを教えてくれた。



「純の真面目さがはっきり分かったよ」


「厭味か?」


「ボクの宿題を真剣に考えてくれてる」


放課後、教室にはギターを抱えた毅とオレ。毅には笑い事だが、オレにはスゲー圧力。


「人生は意外に満ちてる!」


毅は笑いながら歌うように言った。


「純がスタンダードナンバーを引き合いにだすなんて思わなかったから」


「どうせダサいって言うんだろ?」


「言わないよ〜♪」


ジャカジャカとギターを弾く。


「人生は意外に満ちてる、って使えそう」


「もうちょっとヒネりたいね」


「人生…堅いから、毎日とか」


「毎日…いいねぇ、じゃあこのメロディラインに乗せて…『毎日は』…『ボクらの毎日は〜♪』」


「『意外に満ちてる』…を『意外に…』」


「『意外に…』ちょっと短すぎ。何か足して」


「…『意外と言う名の奇跡に満ちてる』は?」


毅が弾きながら歌詞をつけてくと、


「『…に満ちてる』は省略、だな。純、かなり乗って来たな」



二人で、ああでもない、こうでもないと歌詞を考えてくのは『意外』と楽しかった。


一人じゃなくて、誰かと何かを完成させてくという、すごい達成感。


「これってスゲーよなぁ」


「…バンドで演奏しても、多分それ、感じられる。曲できたら、練習だからな」


毅はいつもより真剣。


オレが感じた感動を求めて、毅が音楽を始めたような気がした。


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