HAPPY DAYS
こんな事を考える自分は、やはりいやらしいママの血を引いているんだ。



花巻くんを抱きしめたいのと同じくらい、

山浪くんに抱きしめられたい。



仲良くしてるサエコに
部活中、


「頼れる人と守ってあげたい人とどっちが好み?」

と聞いた。


サエコはちょっと驚いたようだったが、

「守ってあげたい、方かな?…私の性格からいって」

と率直に答えてくれた。


さっぱりした性格のサエコは、付き合い易いコだ。詮索も余りしないし、ダメな事にはダメ出しもする。


「私、すごく嫌な女な気がする。男好きなのかな?」


「紀子が?」


「サエコなら本当の事言ってくれるでしょ?」


サエコは暫く黙り込んでいたが
ようやく口を開いて飛び出して来た言葉は、意外だった。


「男嫌いだと思う、とゆうか恋愛が大嫌い、だよね?」


左側の視界がパンと音を立て開けてく私に、サエコは続けた。

「好きとか嫌いとか、理性では抑え込めないとこを、無理矢理抑え込んで、キツクないかな、と心配してたんだよ、気付いてた?」


「そんな風に見えた?」


「見えたよ。花巻くんにも変にお姉さんぶってさ。」


「お姉さんぶってるつもりはなかったの…、何となく」


「あと、部長のタカノが紀子を好きなのも、異常なほど無視してない?」


そこは触れられたくなかった。


ひょろ長い体型のタカノ部長は、吹奏楽部では神様的存在。
でも彼にコクられたのが嫌で、花巻くんにコクったくらい。


どうして彼が嫌なのかと言うと我利我利亡者だから。


花巻くんに嫌がらせしてくる人達の指揮を取ってる節がある。


「あの人は嫌いなだけ」



「それなら、それでいいけど」



そう言いながら、部長の位置を目で確認してサエコは続けた。



「もっと自然体でいいと思うよ」
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