HAPPY DAYS
自然体って?


恋愛を自然にすることは、私には難しいのかも。


「花巻くんとはうまくいってるの?」


「…エリカが、花巻くんがすごい可愛いコと歩いてるのを見たって。」


「馬鹿女エリカならそんな無神経をいうだろうよ」


サエコは怒りを抑えつつ、鼻息だけは言葉より荒かった。


「花巻くんから聞いてなきゃ気にしないことだね。自分の目とカレ以外の情報はいらない」


言葉もなく頷く。


するとタカノがやってきた。


「二人とも無駄話しにきたのなら帰って。士気が下がるよ」


「…すみませんでした」


タカノは注意していても目を合わさない。

そこが最悪。

タカノは大学の指定校推薦を狙ってるらしい。だから部活で成果を出したがってる。


タカノは去りながら、ちらっと私を見た。


私は気付いてたけど、見もしなかった振りをした。


休憩時間になり
サエコが言いにくそうに、でも言いたげなそぶりをするので
今更サエコに隠す事もないと促した。


「なに?」


「…言いづらいけど…紀子、山浪が好きとか?」


「え?」


「ごめん、忘れて」


「違う違う、怒ってないよ、なんでそう思った?」


「紀子、山浪のこと、すごく目で追ってるから…。初めは山浪と花巻くんが一緒にいるから、花巻くんを見てると思ってた…。でもさっき、山浪が歌い出した時の紀子…目が違ったんだよ、目が…」





山浪くんの歌声、ハミング、心地良いのに、何処か揺れて宙に浮いてる。






これが恋愛感情とは思いがたい。



でも気付いてたはず、自分でも。



花巻くんにはない駆け出したくなるようなワクワクするような思い。






山浪くん、いつの間に魔法をかけたの?








ベタな言葉。











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