HAPPY DAYS
校門を出ると、紀子はいつもの塾経由の遠回りの道を、当たり前みたいに選んだ。


「ちょっと寒いね?手ぇつなぎたい」


いつになく積極的な紀子に、食傷気味になりながら、右上を見たまま、左手を出した。


紀子は相変わらず、躊躇う事も忘れてしまったようで
オレの手に自分の冷たい手を絡めて


「純くん、あったかい」


とか、一人で恋愛ドラマ演じちゃってる。


って、さっき毅と
(ボクはカウントにいれないように、と言われそうだけど)
ベタな青春ドラマ演じちゃったオレには、言われたくないか。



紀子は手ばかりではなく、最終的には体を寄り添うようにして、くっついてくる。



この積極ぶりは何だろう?



勘違いしてたのは、
毅じゃなくてオレ?



ガチでマジでオレを誘ってる?






…昨日の今日で、母と娘から誘われてます?




マジ有り得ねえから。





家までの道程に何を話せばいいか悩んでいたのに、

それどころか、

ほとんど口もきかず、おかしな雰囲気が高まるばかりだ。





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