HAPPY DAYS
家に着くともう7時過ぎだった。


昨日、紀子ママにしな垂れかかられそうになった玄関。


「…じゃ、また明日」


ボソッと言って帰ろうとするオレを引っ張り
紀子は無理矢理キスをした。


反射的に紀子突き飛ばしてしまった。倒れる紀子。


「…あ…ごめん」


紀子は廊下の上にへたりこんだまま、俯いている。



「…紀子?大丈夫?…ごめんな」



紀子は返事をしない。



オレは靴を脱いで、紀子の隣に座った。



薄暗い廊下では、紀子がどんな顔をしているか、良く見えない。



見えないけど、泣いている。



オレには分かった。



分かったけど、どうにも出来ない。




だからただ、黙って隣に座っていた。





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