HAPPY DAYS
別れたくないと駄々をこねる君代を自宅に送ると、
君代のママが出て来た。
ふっくらとした優しげな人で
「夕飯まだなら食べてって」と何度も誘ってくれたけど、
もう遅いので、と辞退して来た。

「同じ中学だった花巻先輩よね?中学の時から、君代はあなたが好きで好きで、大騒ぎだったのよ。今日は本当にありがとう。」


君代ママの目には涙が浮かんでさえいた。


「ママ、やめろって」


かなり感じが悪い。


「君代、ちゃん(親の前で呼び捨てって訳にはいかない)、お母さんにそんな口きくなよ。」



君代ママはぱっと顔をあげ、オレの顔をまじまじと見た。

命令口調がやばかった?


「…純くんの言う通りだよね、ごめん、ママ」



ママはふっくらした頬を涙でグショグショにしながら、


「純くん、ありがとう、ありがとう」


と何度も言った。


君代が中学3年から荒れて仕方がなく、
悩み切っていた
こんな素直な君代は久しぶりで涙が止まらない
と鳴咽混じりで話す。



泣いてる顔が余りに君代と似ているので、オレは笑わないようにケツポケに手を突っ込んで、
ケツを何度もつねり上げた。





それから二人に手を振って別れた。




家に着くと9時近いけど
まだ電気はついてなかった。



ばあちゃんが死んでから、オレは毎日、誰もいない真っ暗な家に帰る。







君代、幸せな家庭でよかったね









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