HAPPY DAYS
「紀子がなんで軽音入るのか訳わからねえし」
純は首を傾げてすっとぼけた振りをしてるが、カバンを持つ手は震えていた。
「…純はフリーな立場で参加と思っていたけど、入部する?」
怯えた様子の純は、なんか可哀相な気持ちにさせる。
「瀧澤はそんな簡単に吹奏楽部抜けらんね…」
ボクが話を続けようとした時、
「ちょっと、いいかな…」
と後ろから声を掛けられて、ボク達二人は振り向いた。
吹奏楽部長タカノだった。
タカノ部長はどこか病的で、
例えば純も相当細いが、純はバンビを連想するしなやかさのある細さで、
タカノの細さは伸びすぎたアスパラガスのような、人の不安を煽るのに調度いい痩せ加減だ。
顔も同じくらい間延びしてる癖に、目付きに鋭い、油断のならないギラ付きがある。
「うちの瀧澤くんが、軽音に入ると言うのは本当なのかな?」
言い出しはソフト。
「まぁ、花巻が何かしら言ったんだろうけど…」
「オレはなんも言ってねえよ」
キレかけの純を無視して、タカノ部長さんは続けた。
「ボクは瀧澤を諦めない。部活でもプライベートでもね。じゃあ、また」
純は首を傾げてすっとぼけた振りをしてるが、カバンを持つ手は震えていた。
「…純はフリーな立場で参加と思っていたけど、入部する?」
怯えた様子の純は、なんか可哀相な気持ちにさせる。
「瀧澤はそんな簡単に吹奏楽部抜けらんね…」
ボクが話を続けようとした時、
「ちょっと、いいかな…」
と後ろから声を掛けられて、ボク達二人は振り向いた。
吹奏楽部長タカノだった。
タカノ部長はどこか病的で、
例えば純も相当細いが、純はバンビを連想するしなやかさのある細さで、
タカノの細さは伸びすぎたアスパラガスのような、人の不安を煽るのに調度いい痩せ加減だ。
顔も同じくらい間延びしてる癖に、目付きに鋭い、油断のならないギラ付きがある。
「うちの瀧澤くんが、軽音に入ると言うのは本当なのかな?」
言い出しはソフト。
「まぁ、花巻が何かしら言ったんだろうけど…」
「オレはなんも言ってねえよ」
キレかけの純を無視して、タカノ部長さんは続けた。
「ボクは瀧澤を諦めない。部活でもプライベートでもね。じゃあ、また」