HAPPY DAYS
純 DAYS 8
初セッションはマジでガチで超楽しかった。


音楽って言葉だ。


楽しい気持ちを音にして伝える。


全ての日常から解放された気持ち。


あんなに感じが悪かったボンも、音楽で話すと一気に仲間になれた。


こんな世界があるって、誰も教えてくれなかった、毅以外は。




みんなでゲラゲラ笑いながらもつれ合うみたいに校門まで行くと、
そこには君代が待っていた。


「何だよ、初日からバンギャルが出待ちな訳?」


ボンがからかう。


…意味が分からないけど、なんか照れ臭い。


って、オレ音楽でぶっとんでて、紀子のこと忘れてた。


「純くん、待ってたヨ〜」

君代は飛んで来てオレの腕にしがみついた。


オレは紀子の視線を探してキョロキョロと挙動不審。


周りは余計に面白がって
「正妻〜、純が浮気してるぞ〜」
「大奥だ、大奥だぁ」


と騒ぎ出す。


紀子は黙って君代を見ていた。


さすがの君代も、怖ず怖ずと腕を離し、

「彼女?ホントに彼女いるんだ」
とオレに聞く。


オレが頷くと、諦めたようにニコッと笑いながら、
紀子のそばにいった。


「純くんは、彼女いるって断ったから。だけど私が諦めないでいるだけ。純くんは悪くないから」


紀子は何も言わない。


「さすが純くんの彼女だね?かわいいし賢そう。君代なんかギャルだしバカだし、勝てそうにないよ。…でも」


君代は、返事しない紀子に向かって更に続けた。


「私は純くんが大好き。その気持ちは負ける気しないよ」


「私だって!」


紀子が急に叫んだ。


「花巻くんは、誰にも渡さない!」


紀子の目は燃えるようだった。






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