HAPPY DAYS
高三の春は凄まじいスピードで、丸で加速装置仕込み。


オレは早送りされたみたいな変化に
戸惑いながらついていこうと努力していた。


休み時間、教科書を借りに来たボンにふと質問した。


「ボン、進路どうすんの?」


「オレ?オレ完全にこことずれちゃったよな。…プロ目指すから」


ボンは小柄で細い。
女の子みたいだ。
ビジュアル系バンドのコピーをしてるバンドを校外で組んでるらしいが、
そんな雰囲気。


そっちでプロになりたいのか。


なんかまた、オレより先見てる奴がいた。
叶うかどうかじゃなくて、夢を持てるか持てないか、だな。


「ボンならなれるよ、オレ、応援するからさ」


ボンは意外そうな顔をして、指を二本立てて敬礼していった。


オレは何をしたいのか、何処へ行きたいのか、今はまだ見付からない。
東大受けるつもりも、どっか飛んで行っちゃったし。
勉強してね〜。


でもきっと分かる日がくる


見付かるまでファイトだ、オレ。



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