HAPPY DAYS
放課後、正式に借りることになった音楽室で
カナメ祭の準備ということになった。


しかし、ボクとボンは体育のサボリがばれて、職員室に呼び出されていた。


タンタンは予備校の日で、2年生達は合コンボーリングとかでみんな部活は休み、


つまり、純と瀧澤だけだったのだ。


純は今日、かなり変だった。瀧澤を見詰めてはため息をついたり、顔を真っ赤にしたり。


大体、昨日黙って帰ったことについて
純からは言いにくいだろうと話さないでいたら、
向こうも一切言わない。


いい加減たって弁当のとき、

「瀧澤の電話なんだったんだよ」

と切り出し、

「吹奏楽部のタカノが退部させてくれないから、どうにかしてくれ、と言われた」


と、言うと


「タカノね〜、あいつストーカー的な感じあるよな」

と、急にご機嫌になった。



解りやすいのか解りにくいのか。


いずれにしても、瀧澤に関心が戻ったらしい。

にも関わらず、相変わらず厳しいのが瀧澤の態度。


瀧澤も素直じゃない奴だな。


あの純が、二人きりにならざるを得ない状況になって、
話をしないわけがない。


きっと神様がくれたチャンス。


ちゃんと活かせよ。




と思いながらボンより先に放免されたボクは、音楽室のドアをノックした。


「はい」


瀧澤の返事がしてドアが開いた。


「なんだ、山浪くんか。変な人ね、ノックなんかして」

ボクなりに気を使ったんですけど。

音楽室に入ると、純が完全に虚ろな顔になって俯いていた。


なんかあったみたい。


瀧澤は目の縁が赤い。


「これ、カナメ祭に出す予定のクッキー、作って来たからみんなで食べて。…じゃあ私、帰るわ、なんか具合悪くて」



瀧澤は振り返りもせず、足早に音楽室を出て行った。
純は青ざめたままだ。


「純?」
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