HAPPY DAYS
「オレ、もうやばい。紀子…もっとやばいかも」


紀子がいなくなってすぐ、純が泣きゴトを漏らした。


何があったか尋ねる代わりに、ボクは純の隣に腰を下ろし、黙って肩を叩いた。




しばらくして純は顔を上げ、ボクに話し出した。

「オレが悪いんだから仕方ないよな、だけど、紀子を…傷付けたたままでいいのかな…」


「…仕方ないよ。誰も傷付かない恋愛なんて、ないんだから」


「傷付け方が…さ」


「身体に付いた傷じゃないんだから、
傷に深いも浅いもない。
傷付けた、じゃなくて
傷付いたか、傷付かないかだよ。…だから純は…」


「毅はオレが何したか知らないからそんなことゆうんだよ」


「瀧澤がボクに電話してきた腹いせに例のボインちゃんとデートでもしちゃったんでしょ」


「…銀座の母かよ…でも、毅も見えてないよ」


「?」


「オレ、昨日…その…君代と…」


「え?そうなの?まさかそれをわざわざ瀧澤に?」


「違う!わざわざそんなこと…知らせたくて知らせるわけ」


「でも、知っちゃった?」


「…うん」


「…でも、それも純がそのコが好きなんだから、やっぱり仕方がないよ」


「…そうならそうなんだろうけど、オレ…よくわかんねぇ。…いつも告られるばっかで、オレから好きになったことねえし…」


「…君代…ちゃんだっけ?と瀧澤と、どっちが好きか分からないのか」


「てゆーか、好きとか嫌いとかよくわかんねぇ。初めてああいう事しても…いいのはそん時だけで、前後の好きとか嫌いがよくわかんねぇ。…オレ、最低だよな。毅、オレをどう思う?」


「瀧澤に知られたのは瀧澤が可哀相だし、気の毒だし、純を馬鹿か?と思うけど、純は…」


純はイケメンくん過ぎて、
自分の好きという感情が育つ前に好かれてしまうから、
相手の気持ちを受け止めるだけでいっぱいいっぱいなんだろう。

それでも瀧澤と君代の二人には、どこか気持ちが動くところがあるから、純が初めて行動し悩み出した。




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