超能力者が高校生!?
わたしはすぐに病院へ向かった。どこの病院だったか・・・。たしか、外科の方へ向かった気がする。そこへ行ってどうすると言うのだろうか?
仕事は早退させてもらい、町のはずれの病院へと車を走らせた。

15分後、病院に着いたわたしはほぼパニックになっていた受付では何とか理性を保っていたが、待合室では落ち着いてられなかった。あっちこっちへと移動したり、頭を抱えて待っていた。
しばらくすると、看護士がわたしの名前を呼んだ。診察室に入ると若い医者がデスクに向かっていた。
「どうぞ、掛けてください」
「あ、はい・・・」
「?初診の方ですね?」
そういえばそうだ。何かと病院に通っているわけではないので、どこの病院かは・・・。
「それで、どうなさったんですか?」
「あの・・・それがですね・・・」

わたしは話した。手が突然消えた話を・・・。
若い医者は、時々デスクのメモをしたりして、わたしの話を静かに聞いた。

「そうですか・・・、いえ。完全にうのみにすることはできませんが、信じますよ。あなたの話を」
「先生・・・」
「治療法を探しましょう。ここで待っていてください。それと似たようなことの書籍を持って来ます」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
若い医者は診察室を出ようとして、わたしは名前を聞いた。
「わたしは、武本渡(たけもとわたる)です」
武本渡。それが彼から聞いた、唯一の情報だ。

彼が出てから数分経った。わたしは暇になり、医務室内を歩いた。小型の骨格模型。横になるためのベッド。あらゆる医薬品が棚に並べられていた。
デスクにも目がとまった。医者のカルテはよくわからない。ドイツ語で書かれていると聞いたが、本当だろうか?
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