liftoff
とそのとき、彼のテーブルに異変が生じていた。あれほど居た女の子たちが、いきなり散り散りになって、彼の他には、一人、女の子が座っているだけ。しかも、かなり身体を密着させて座っている。
思わず、心臓が早鐘を打つ。
「あーん、どうやらウイコさんはハズしたようね。でも、安心して。どうせ、わたしたち2人も、ハズしちゃったから」
わたしは、とりあえず愛想笑いをしたものの、本心は、笑えなかった。まるで、身体の中に剛健な腕が入りこんで、それが、力任せに、わたしの心を捻り上げているかのような、そんな感じ。痛くもあり、吐きそうでもあり。あまりに心臓が強く鼓動するので、捻り上げられたところを、太鼓のバチのようなもので、ドンドン、と叩かれているような感じなのだ。
とそのとき、彼が徐に席を立ち、続いて、その女の子も一緒に立った。そして、腕を組んで、出口へ向かい、歩いて行く。
「ええっ!? マジなの??」
マリとアキは、さっきあんなことを言っていたくせに、本当に彼が彼女を連れて(ということは、買って)いくところを見ると、信じられないとでもいうように、口をあんぐり開けて、彼らを目で追う。彼女達でさえ、そんなにショッキングな光景なのだ。
わたしも、一瞬、音も光も感じられなくなったほど、衝撃を受けた。
胸が痛くて、痛すぎて、いっそのこと泣いてしまいたいのに、肝心の涙が出てこない。
でも一方で、この状態を、鵜呑みにしようとしている自分も居る。そういうものよ、と、自分を納得させようとしているのだ。でもホント、そういうものなのよ。所詮、彼も、男なのよ。そして、彼は手の届かない人だったのよ。
思わず、心臓が早鐘を打つ。
「あーん、どうやらウイコさんはハズしたようね。でも、安心して。どうせ、わたしたち2人も、ハズしちゃったから」
わたしは、とりあえず愛想笑いをしたものの、本心は、笑えなかった。まるで、身体の中に剛健な腕が入りこんで、それが、力任せに、わたしの心を捻り上げているかのような、そんな感じ。痛くもあり、吐きそうでもあり。あまりに心臓が強く鼓動するので、捻り上げられたところを、太鼓のバチのようなもので、ドンドン、と叩かれているような感じなのだ。
とそのとき、彼が徐に席を立ち、続いて、その女の子も一緒に立った。そして、腕を組んで、出口へ向かい、歩いて行く。
「ええっ!? マジなの??」
マリとアキは、さっきあんなことを言っていたくせに、本当に彼が彼女を連れて(ということは、買って)いくところを見ると、信じられないとでもいうように、口をあんぐり開けて、彼らを目で追う。彼女達でさえ、そんなにショッキングな光景なのだ。
わたしも、一瞬、音も光も感じられなくなったほど、衝撃を受けた。
胸が痛くて、痛すぎて、いっそのこと泣いてしまいたいのに、肝心の涙が出てこない。
でも一方で、この状態を、鵜呑みにしようとしている自分も居る。そういうものよ、と、自分を納得させようとしているのだ。でもホント、そういうものなのよ。所詮、彼も、男なのよ。そして、彼は手の届かない人だったのよ。