liftoff
ホテルから一番近い街は、パトンビーチにあるバングラ通りで、トゥクトゥクに乗って10分とかからないところにある。
ホテルからもシャトルバスが出ているらしいけれど、時間を調べたり待ったりすることが面倒だったので、ホテル前に駐留しているトゥクトゥクに乗り込んで、夕暮れの潮風に気持ちよく吹かれていると、あっという間に目的地に着いてしまった。
昼間のそことは違って、夜は、人とすれ違うのも大変なほど、賑わっている。
道の両側には、カフェやバーやレストランや土産物屋が軒を連ね、互いを牽制し合いながら商売している。
そしてそれら飲食店のほとんどが、ほぼオープンエア。入るにも、ドアがない。
だから、そこで飲もうと思ったら、道の延長上にあるように見えるそのカウンターに近づいて行って、そこで、オーダーするなり、座るなり、してしまえばいい。
それに、人は自分のことで精一杯だから、わたしのように一人でふらついているような者のことに、いちいち気を留めてはいられない様子だった。
そのことも、幾分か、わたしの気持ちを軽くした。
この喧噪の中に居ると、自分はまるで透明人間にでもなったような気分でいられた。
それは、想像以上に快適で、自然に自分の口元がほころんでくるのを感じて、有頂天になりそうだった。
何でもできるような気にさえ、なってきてしまった。
ちょっときわどいかな、と思うような店にも、好奇心だけで立ち寄ったりできそうなぐらい。
通りをぶらついていると、時折、客引きにも声を掛けられる。
ムエタイバーだったり、普通のバーだったり。
わたしは、何度もメイン通りを往復して、店の品定めをした。
けれどそのうち、疲れてきてしまって、ムエタイバーに立ち寄ろうか、と、そちらへ歩を進めていた。
けれどもその途中、綺麗な針金細工で作った蝶々を売っている女の子とぶつかってしまって。その子の大事な商売道具を拾うのを手伝ったり。
トゥクトゥクを探しているのかと勘違いされて、何度もトゥクトゥクの運転手から声を掛けられたり。
そうしている間に、いつの間にか、店を通り越してしまった。
ホテルからもシャトルバスが出ているらしいけれど、時間を調べたり待ったりすることが面倒だったので、ホテル前に駐留しているトゥクトゥクに乗り込んで、夕暮れの潮風に気持ちよく吹かれていると、あっという間に目的地に着いてしまった。
昼間のそことは違って、夜は、人とすれ違うのも大変なほど、賑わっている。
道の両側には、カフェやバーやレストランや土産物屋が軒を連ね、互いを牽制し合いながら商売している。
そしてそれら飲食店のほとんどが、ほぼオープンエア。入るにも、ドアがない。
だから、そこで飲もうと思ったら、道の延長上にあるように見えるそのカウンターに近づいて行って、そこで、オーダーするなり、座るなり、してしまえばいい。
それに、人は自分のことで精一杯だから、わたしのように一人でふらついているような者のことに、いちいち気を留めてはいられない様子だった。
そのことも、幾分か、わたしの気持ちを軽くした。
この喧噪の中に居ると、自分はまるで透明人間にでもなったような気分でいられた。
それは、想像以上に快適で、自然に自分の口元がほころんでくるのを感じて、有頂天になりそうだった。
何でもできるような気にさえ、なってきてしまった。
ちょっときわどいかな、と思うような店にも、好奇心だけで立ち寄ったりできそうなぐらい。
通りをぶらついていると、時折、客引きにも声を掛けられる。
ムエタイバーだったり、普通のバーだったり。
わたしは、何度もメイン通りを往復して、店の品定めをした。
けれどそのうち、疲れてきてしまって、ムエタイバーに立ち寄ろうか、と、そちらへ歩を進めていた。
けれどもその途中、綺麗な針金細工で作った蝶々を売っている女の子とぶつかってしまって。その子の大事な商売道具を拾うのを手伝ったり。
トゥクトゥクを探しているのかと勘違いされて、何度もトゥクトゥクの運転手から声を掛けられたり。
そうしている間に、いつの間にか、店を通り越してしまった。