[短]Chocolate~From Bitter~

名前とか、年齢とか、何してるのかとか、聞いてみたいことはたくさんあるのに。

唇が、体が、言葉を出すのを躊躇ってる。

そうしている間にも刻々と時間は流れ、

箱の中にあったチョコレートは少しずつ減っていく。

減っていくチョコレートは、まるで私たちの時間をカウントダウンしていくようだった。


友達でもない。

知り合い、とも呼べないかもしれない。

顔見知り、ってぐらいかもしれない。

だけど、この不安定な微妙な距離が好きだった。

寄り添うわけでもなく、ただ並べられている肩の距離が好きだった。


───だから私は、“終わり”を選ぶ。

曖昧な関係に、ピリオドを打つために。

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