夜空の下で
1st
゚*月
高校入学から早半年。
私は冬間近の空を見上げていた。
「ホント、陽菜って空好きよね」
私の隣で咲稀ちゃんが言った。
“ヒナタ”
これが私の名前。
でも私は“ミツキ”とか太陽より月の漢字の名前がよかった。
「空も好きだけど月の方が好き。
───あ!
見てみて咲稀ちゃん、昼間の月が見えるよ!」
月を見るだけで気持ちは高ぶる。
そう私は、
月に恋してる。
太陽のように、私は月を追いかけている。
「…早く帰らないと月夜君に怒られるわよ?」
月の漢字が入ってる
“ツキヤ”
は、私の隣の家の幼なじみ。
「月夜は子供だからね。
私がいないとホントに駄目なんだから」
生まれた時から一緒にいる。
まるで双子みたい。
私が月を見ていても、
いつも月夜は一緒にいる。
仲が良すぎるって怖い。
いつしか離れられなくなる。
私は、
月の漢字の入った
月夜が好き。
それも幼なじみ以上に。