†正しい王様の在り方†~Fake!!(フェイク)外伝~
シュゥゥゥン
火影亭の食堂の空間が揺らぎ、レオルドが帰ってきた。
いち早く彼の姿を見つけたアベルが、大きく手を振る。
レオルドは、談笑する人々の間を優雅にすり抜け二人のテーブルに戻った。
「待たせたな。早速だがこれから話す事が正式な仕事の依頼だ。受けるも断るも二人の自由だ。」
「わかった…。」
レオルドの言葉に、フェイの顔が引き締まった。
「仕事というのは、この街の東…ベリエル杉の森に最近現れた化け物…キマイラの退治だ。」
「キマイラ…だって?」
「ああ、獅子の頭を前足、牡鹿の胴体と後ろ足…そして胴からは鋭い角を持った鹿の頭部が生えている。しかも…尾は蛇といって無茶苦茶な化け物だ。どうだ?倒してみる気になったか?」
レオルドは、二人の顔色をうかがいながら尋ねた。
「へぇ、そいつはすごい。今まで盗賊や幽霊相手の仕事をしたけど、本物の化け物にはまだ出逢った事が無いんでね。」
「そうか。アンタらがこの話を受けてくれるなら、俺もサポートとして参加させて貰う。」
「ふぅん。魔法の援護があればかなり仕事がしやすくなる。OK!この仕事乗った!」
フェイは即答すると、口元にニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「アベル、フェイはこう言っているがアンタはどうする?」
「勿論、ご一緒させて頂きますよ。」
レオルドの問いに、アベルは微笑を浮かべ答えた。
「それじゃあ、仕事の契約成立!報酬は仕事の完了後、直ちに支払う形にしよう。」
レオルドの言葉に、二人は頷く。
その緊張に引き締まった横顔が、傾いた冬の日差しを浴びて美しく輝いた。