†正しい王様の在り方†~Fake!!(フェイク)外伝~
ズゥゥゥン…ズゥゥゥン
ガラスのような大気を震わせ、重厚な足音が近づいてくる。
やがて、氷柱の影から姿を現した化け物は、恐ろしい容姿のキマイラだった。
「来た!うわっ、想像以上にデカイな。」
フェイが叫び、ブルリと武者震いする。
その声に、キマイラは反応し赤い瞳でギロリと三人を睨み付けた。
ガォォォォ!
獅子の頭が咆哮をあげ、キマイラは彼らに向かって走り出した。
「ファイアボルト!」
レオルドがロッドを振ると炎の帯がキマイラめがけ一直線に伸びた。
その一撃を軽々とかわし、化け物は三人をめがけ突進してくる。
「くそっ、二人とも無理に打ちかかると無事じゃすまないぞ!」
レオルドが叫ぶ。
「はぁぁぁ!」
「やぁぁぁ!」
アベルとフェイが絶妙の間合いで剣を繰り出す。美しい二本の刃が煌き、赤い血飛沫が飛ぶ。
フェイの剣がキマイラの皮膚を切り裂いた。
グォォォ
身体を傷つけられたキマイラの怒りの声が森に響き渡る。