†正しい王様の在り方†～Fake!!（ﾌｪｲｸ）外伝～

「フェーーーーイ！」

アベルの声がだんだん近くなる。


トンッ

黒い影がフェイとキマイラの間に割って入った。
突然の来訪者にキマイラが怖じ気づき後退した。


「ア…アベル！どうしてここへ？」

「フェイ、僕は貴女の許嫁ですよ。助けに来るのは当たり前でしょう？」

「あ…。」

「それに、騎士はか弱き女性を守るが常識！」

そう雄々しく叫ぶと、アベルは迷いもせず剣を構えるとキマイラに向かって走り出した。


（アベル…。）

僅かに差し込む月光に、短く切った金髪がキラリと輝き白刃が宙を踊る。
アベルはまるで背に羽根が生えたかのように、美しく宙を舞いながらキマイラに斬りかかる。
その正確な剣捌きは、確実に獲物に傷を負わせキマイラの動きは見る間に鈍くなっていった。


「これで…最後だぁ！」

アベルは雄叫びと共に、キマイラの首に一刀を振り降ろした。


ザシュゥゥゥゥッ
ゴッ…ゴトトトッ

肉の切り裂かれる音と、首が地を転がる音がした。
程なく大きな肉の塊がドドウと地響きをたて地に倒れる音がして･･･辺りに静寂が戻った。