†正しい王様の在り方†～Fake!!（ﾌｪｲｸ）外伝～

「うわあっ！」

フェイが思いがけずおかしな叫び声をあげ、顔を赤く染めた。
その反応に、アベルはクスクスと声をあげて笑う。
そんな二人に、道行く人々が暖かな笑顔を送る。


（アベルの奴…急にこんな事…照れるじゃないか。）


フェイはフッと白い息を吐き、照れ隠しに通りの遙か遠くに聳える優美な城を見つめた。


「あの城には、眉目秀麗との噂の高い王様が住んでいるんですよ。年齢も私達とさほど変わらないとか…どんな方なんでしょうねぇ。」

「ふぅん…。王様ねぇ。あんまり興味無いな…それよりも、私達の空腹を満たす仕事を紹介してくれる情報屋に出会える方がありがたいな。」


（王様なんて…。どんな奴も同じだろ。）

フェイは、小声で呟くと、ポケットの中のアベルの手をギュッと握った。

「あ…。」

彼の顔を見上げ、アベルは嬉しそうに口元を綻ばした。


「あー…もっ…もう少し歩くと街の中央広場だ。バザールをやってるらしいから…そこで暖かい食べ物でも買おう。」


フェイは再び顔を赤らめ、大声でそう言うと、大股で歩き出した。
もうすぐ運命の出会いが二人を待っているとも知らずに…。


吟遊詩人の歌声が、街角に響く。


『ここはベリエル…若く美しい賢王が治める都なり…。』