輪廻の世界


僕は鞄を握りなおして、歩く事を決意した。もしかしたら何処かにヒントがあるかもしれないし、人がいるかもしれない。ここが夢の世界だとして、何も無いわけじゃないだろう。…きっと。足が動かなくなるまで歩き続ければ、いいんだろう。


歩いた、歩いた。足が疲れてきたのだから、やっぱり夢の世界なんかじゃないんだろうな。現実。コレは現実なんだ。ありえない話、なのに僕は焦っていなかった。普通の人は焦るんだろうか。じゃあ僕は普通じゃない。慌てたり、焦ったりすることをどうしようもなく無駄だと思うんだ。でも、疲れた。


廊下の壁に背中を預けてそのまましゃがんだ。溜息が疲れまで吐き出してくれたならどれだけ楽な事か。そんなわけない。精神的にも疲れは溜まる一方なんだろう、きっとここから出るまで。瞳を閉じると、そのままその暗闇に吸い込まれそうだ。眠い、寝たら元に戻るだろうか。元のあの、好きでもなく嫌いでもない、学校に。でも僕のそんな思考もひとつの声によって掻き消された。囁くようでよく聞き取れないけど、何か詩のような、男の声。


…校歌…?

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