皎皎天中月
「その老いた暁晏は、予に気を遣って真を述べなかった。だが、そなたの話で解った……娘の怪我、癒えぬ毒、全て原因は予と娘自身にあるのだな」
「陛下……」
暁晏は恐れ多く、腰を屈めた。
章王はそれを横目に見、再び恵孝へ視線を戻す。
「城の周りに蛇殺し草を植えるよう指示したのも、旅人を城へ招いたのも予である。旅人を招いたのは長年の習わしであり、国を訪れてくれた旅人への礼儀であろう」
恵孝は首肯して相槌を打った。
「蛇殺し草は、娘の我が侭への親心。蛇が嫌いという娘の言葉を受け、予が命令をした。危ない草だと解っていながら、娘可愛さに配慮が足らなんだ……その娘が怪我をするとは、ゆめゆめ思わず」
蛇殺し草は、遠目にもそれとわかる赤い葉を持つ草。人は日中ならば色で避けるし、夜中は甲冑を纏った兵士ぐらいしか、その周りには近付かない。
「陛下……」
暁晏は恐れ多く、腰を屈めた。
章王はそれを横目に見、再び恵孝へ視線を戻す。
「城の周りに蛇殺し草を植えるよう指示したのも、旅人を城へ招いたのも予である。旅人を招いたのは長年の習わしであり、国を訪れてくれた旅人への礼儀であろう」
恵孝は首肯して相槌を打った。
「蛇殺し草は、娘の我が侭への親心。蛇が嫌いという娘の言葉を受け、予が命令をした。危ない草だと解っていながら、娘可愛さに配慮が足らなんだ……その娘が怪我をするとは、ゆめゆめ思わず」
蛇殺し草は、遠目にもそれとわかる赤い葉を持つ草。人は日中ならば色で避けるし、夜中は甲冑を纏った兵士ぐらいしか、その周りには近付かない。