皎皎天中月
 広間に章王が現れた。兵士らは隊列を正して王を待つ。明千も表情を変えぬまま、章王の顔をうかがう。またやつれていらっしゃる。
 軍の高官が追従し、王に一礼すると、兵士の前で書簡を広げた。

「この度、不死の病を治す薬があることが報告された。めでたき事態である。貴公らは幸運にも、その薬を求める役を仰せつかった。健闘を祈る」
 続いて、捜索隊の人員が呼名される。訓練されたよく通る声の返事には、どれほどの誠意が込められているのか。
 隊はくるりと向きを変えると、城門へ向かった。そして堀に渡した橋を越え、町を出る門を過ぎた。


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