皎皎天中月
第四章 彼入其山
山棲者
池の澄んだ水に、己の姿が写る。
なんと、醜い。
壁を越えて来る者の気配を感じている。
人間が三人。登って来ることを山が受け入れれば、数日のうちに、山頂に着くだろう。
人間に会うのは久しぶりだ。楽しみも、不安もある。
何を求めてここに来るのだろうか。
この醜い姿を何と思うか。
その像を消してしまいたくて、ざぶんと池に飛び込んだ。
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山棲者