最後の着信メロディ
「ここも、ハズレじゃないけどどうも違うね…」

近所のバイクショップから出ながらユキさんが言います。

ここはマキト行き着けのショップでしたが、あまりバイクに興味のない私は何度かついて来ただけでした。

こんなような場所を、もう十数か所まわっていますが、どれも正解ではないらしく、マキトが現れたり、海の時のように私が何かを見つけることもありませんでした。

ただ、それでも全く「足し」にならないわけではないらしく、行く先々でマキトから携帯に電話が入りました。

最初ワン切りのようだったその着信は徐々に私が取れるくらい長くなってきました。

ただ、取っても即切れてしまうか、マキトの声が一文字分くらい聞こえて、やっぱり切れてしまいました。

「公園、ウチの店、海岸ときて、あと2箇所…どう?ミヨちゃん」

ユキさんの問いに私は首を振ります。

「んー、マキトの部屋も違ったし、このへんの店や場所でいきつけは大体行ったし…そもそもミヨちゃんが印象にないところに思い出なんて」

ユキさんの言葉に私ははっとしました。

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