最後の着信メロディ

it's your turn

今まで回った場所は、全て「私とマキトの思い出」の場所です。

もしかして、「マキトだけの思い出の場所」だとしたら…でも、それだと私にはわからないことになってしまいます。

ただ、それは違う気がしました。なんとなくですが、マキトに今必要なのは多分、思い出そのものではなく「誰かとの繋がり」だと思えたからです。

だとすると、一箇所、私は心当たりがありました。

でも私はその場所を知りません。

「ユキさん、マキトはメールでこう言ってたんです。『俺を吹っ切るためのツアーをしよう』って」

「…うん?」

私の発言の意図が読み取れないらしく、ユキさんはとりあえずといった感じの返事をします。

「二人の思い出の場所を回ろう、とは言ってないんですよね」

「う、うん…」

言っているうちに、私の中に確信が芽生えてきます。

「昔、ユキさんたちのバンドが練習してたスタジオに行きましょう…」

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