最後の着信メロディ

home of soul

そのスタジオはミストから車で20分くらいのところにありました。

いえ、正確にはありませんでした。

「えーと、バンド辞めたのがアタシが働き始めたのと一緒だから…」

そこにある建物を見上げながら、ユキさんが呟いています。

「8年かあ、アタシも老けるわけだわ」

そこにあったのは、立派な高層マンションでした。

「どうしましょう…」

まさか、スタジオがなくなっていると思っていなかった私は動揺します。

もしかしたら別のどこかなのでしょうか。

それとも、そもそも私の考えが間違っていたのでしょうか。

私は不安になって、ユキさんを見つめます。

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