最後の着信メロディ
言い方が気になりなんとなく時計を見れば、針は0時をさしています。

「と、いうのも、今オレだいぶ遠くに住んでるんだ。で、そっちで仕事してる。やっとまとまった休みが取れたんだ」

「遠く?仕事?マキトが?」

「そ、遠く。すごーく遠く。んで、仕事くらいするさ、オレだって」

やっぱり、マキトは一人になったらなったで、大丈夫なヤツだったみたい。

私に「餓死する前にミヨが来てくれると思って」と言っていたヤツと同一人物とはとても思えないけど。

「で、一つ謝っておかないといけないんだけど」

「一つどころじゃないと思うけどね」

「あの時、三年前か、女できたんだ、今住んでるとこに」

「はぁ!?」

さっき右拳を振り下ろさなかったことを後悔しながら、私はマキトの顔をにらみつけます。

「ちょ、最後まで聞いてくれ。そいつとは別れてる、でも同棲のために始めた仕事がおもしろくてな」

「嘘」

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