最後の着信メロディ
さて、話を元に戻しましょう。

私はソウタロウさんの告白に対して、返事が出来ないでいます。

「あー…えっと…」

とマヌケな声を出している私の前で、顔を真っ赤にしたソウタロウさんがはっとした顔でこっちを見ました。

「あっ、スイマセン!急にこんなこと言っても、その、困りますよね」

はい、事実、すごい困っています。といっても、突然のことである以上に、私に気がかりなことがあるからなのですけど。

「お返事は……すぐでなくても構いません」

私は答えません。というか、頭をよぎった「気がかり」のせいで半分くらいしか聞こえていませんでした。

「そうですね、四日後の日曜日で……どうですか?」

ちょっと考えて、それが返事の期限だと気づいて、頷きながら答えます。

「……はい、考えてみます」

「ホント、突然でスイマセンでした……」

照れくさそうにぺこりと頭を下げるソウタロウさん。

なんというか、本当に真面目で丁寧な人です。

「いえ……あ、家もうすぐそこなんで」

「あ、はい、それじゃあ、また明日会社で」

「おやすみなさい」

交差点で別れて、私はフラフラと歩きます。

歩きながら考えるのは、ソウタロウさんのこと



そして、マキトのことです。

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