最後の着信メロディ
追憶と消失
突然ですが、大学のころ、私には彼氏がいました。
マキトという男で、ミュージシャン志望のろくでもないヤツでした。
学校にもあまり行かず、私が部屋を訪れれば高熱を出してベッドで倒れていたり、
食料が尽きて餓死寸前になっていることもしばしばで、なんでコイツと付き合ってるんだろうと真剣に悩むこともまた、しばしばありました。
ちなみにそのどちらの時も、ギターを抱えて倒れていました。あきれたバカです。
ただ、どんな人間にも取りえはあるもので、マキトのそれは「アドバイス」でした。
自分のことはてんでいいかげんなくせに、他人が悩んでいると、目の醒めるような解決策をつぶやいて、それまで悩んでいたことがなんだったのかと苦笑いする人を何人も見てきました。
私も度々その能力のお世話になっては、苦笑いを浮かべていました。
自分のことはてんで適当で、悩みもないような顔をしてるくせに、なんかズルいと、私はことあるごとにこぼしていました。
マキトという男で、ミュージシャン志望のろくでもないヤツでした。
学校にもあまり行かず、私が部屋を訪れれば高熱を出してベッドで倒れていたり、
食料が尽きて餓死寸前になっていることもしばしばで、なんでコイツと付き合ってるんだろうと真剣に悩むこともまた、しばしばありました。
ちなみにそのどちらの時も、ギターを抱えて倒れていました。あきれたバカです。
ただ、どんな人間にも取りえはあるもので、マキトのそれは「アドバイス」でした。
自分のことはてんでいいかげんなくせに、他人が悩んでいると、目の醒めるような解決策をつぶやいて、それまで悩んでいたことがなんだったのかと苦笑いする人を何人も見てきました。
私も度々その能力のお世話になっては、苦笑いを浮かべていました。
自分のことはてんで適当で、悩みもないような顔をしてるくせに、なんかズルいと、私はことあるごとにこぼしていました。