最後の着信メロディ

ハッとして私は覚醒します。

手に引っ掛けたままのバッグから、着信メロディが響いています。

ただ、それは先日ダウンロードした、普通にどこにでもあるメロディでした。

混乱した私は、電話をかけるという選択肢を忘れていたことに今更気づいて、慌てて携帯を開きます。

しかし、ディスプレイにあったのは[ユキさん]の文字。

それでも、マキトのことを何か知っているかもしれない、そう思って通話ボタンを押しました。