ハリなしハリネズミ
「ここだよ、ここ」
スルスルと木から下りてきたのは、体の小さいリスのチャックでした。
「森のハリネズミがこんな山まで何をしに来たの?」
チャックは体と同じくらいの尻尾をふって興味津々で聞きました。
「ハリをかたくすることができるように、山できたえようと思ったんだ」
へぇ、とチャックは息をもらし、指でガムのハリを恐る恐るさわりました。
「すごいね。で、どうやってきたえるの?」
「それはー」
ガムは言葉につまってしまいました。
そこまで考えていなかったからです。
「それは、山の頂上まで登れるくらいに力がつけば、ハリだってかたくなるに決まってるさ」
と、ガムはうそぶきました。
「なるほどね」
チャックは感心したようにうなずき
「ハリネズミって初めて見るんだ。一緒に行ってもいい?」
と、尻尾をふって言いました。
「しょうがないなぁ」
ガムは何気に一人で心細くなってきていたので、その申し出を本当はとてもうれしく思っていました。そして二人はおしゃべりしながら、山を登り始めました。
「チャックはハリも何もないのに、とても堂々としているね」
スキップしながら山を登るチャックを見てガムはそう言いました。
「僕はすばしっこいからね。キツネやオオカミに出くわしたって、あっという間に逃げられるよ」
チャックはその小さな胸をはって言いました。
「逃げるなんてかっこ悪い」
ガムは不満そうに言いました。
辺りが暗くなり始めたころ、木陰で物音が聞こえてきました。
「なんだろう?」
ガムとチャックが、草むらの中からのぞいてみると、そこには鉄のワナに足を挟まれたサギのバルバールがいました。
「あれ? あんたはさっきのハリネズミじゃないか」
バルバールはおどろいたようにそう言いました。それからガムの怒った顔にハッとして
「いやぁ、なんとか助かったんだね。よかった、よかった」
と、ムラサキ色のツバサを広げて、大げさに喜んでみせました。
「―よかったついでにこのワナを、ちょいと外してはくれないもんかな?」
スルスルと木から下りてきたのは、体の小さいリスのチャックでした。
「森のハリネズミがこんな山まで何をしに来たの?」
チャックは体と同じくらいの尻尾をふって興味津々で聞きました。
「ハリをかたくすることができるように、山できたえようと思ったんだ」
へぇ、とチャックは息をもらし、指でガムのハリを恐る恐るさわりました。
「すごいね。で、どうやってきたえるの?」
「それはー」
ガムは言葉につまってしまいました。
そこまで考えていなかったからです。
「それは、山の頂上まで登れるくらいに力がつけば、ハリだってかたくなるに決まってるさ」
と、ガムはうそぶきました。
「なるほどね」
チャックは感心したようにうなずき
「ハリネズミって初めて見るんだ。一緒に行ってもいい?」
と、尻尾をふって言いました。
「しょうがないなぁ」
ガムは何気に一人で心細くなってきていたので、その申し出を本当はとてもうれしく思っていました。そして二人はおしゃべりしながら、山を登り始めました。
「チャックはハリも何もないのに、とても堂々としているね」
スキップしながら山を登るチャックを見てガムはそう言いました。
「僕はすばしっこいからね。キツネやオオカミに出くわしたって、あっという間に逃げられるよ」
チャックはその小さな胸をはって言いました。
「逃げるなんてかっこ悪い」
ガムは不満そうに言いました。
辺りが暗くなり始めたころ、木陰で物音が聞こえてきました。
「なんだろう?」
ガムとチャックが、草むらの中からのぞいてみると、そこには鉄のワナに足を挟まれたサギのバルバールがいました。
「あれ? あんたはさっきのハリネズミじゃないか」
バルバールはおどろいたようにそう言いました。それからガムの怒った顔にハッとして
「いやぁ、なんとか助かったんだね。よかった、よかった」
と、ムラサキ色のツバサを広げて、大げさに喜んでみせました。
「―よかったついでにこのワナを、ちょいと外してはくれないもんかな?」