ジェンガたちの誤算

その出来事を知らせたくて、
昨日PHSを買ったばかりの彩紗に初めて電話した。

8コール目で留守電になり、ため息をついた瞬間、
PHSが震え、そのディスプレイには茉莉恵の名前が表示された。

『桃ちゃん?卒業式終わった?』

「終わった終わった、てかね、」

『彩紗と連絡取ってる?』

私の言葉を遮って茉莉恵は言った。



「いや、今電話したけど留守電になったよ、
 部活もさすがに今日はないだろうし」

『そうだよね、いや友哉が昨日、彩紗とずっとメールしてたらしいんだけど
 家に着いたっていうメールの後返信がないらしくて、
 私も今朝から電話してるのに繋がらないんだ、約束してるのに』

「うーん、電話買ったばっかりだし、見てないんじゃない?」

『えーそれはないでしょ、約束してるのに!もう!バカ彩紗!あ、てか、』

「え?」

『何か言いかけなかった?』
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