ジェンガたちの誤算
「堀田さんったら着替えもしないで予習?ガリ勉だねぇ」
からかうように言うと、
両手で広げた教科書の位置は変えずに顔だけを上げた彩紗は、
「ウチ今日部活だから、このまんまなの」
と言って視線を教科書に戻した。
「そうなんだ、私は生徒会なんだよね、
終わったらグラウンド行くから、一緒に帰ろうよ」
「たぶんももちゃんのほうが大分早いと思うよ?」
彩紗はそう言ってページをめくった。
「いいよ、待ってる」
「分かった、待ちきれなかったら、ベルして」
相変わらず教科書を読んでいる彩紗がつまらなかった私は、
返事をせずに自分の席に戻った。