ジェンガたちの誤算
私が見つけた彩紗は、この寒さの中で半そでに短パン、白い息を吐きながら、
一周400メートルもあるグラウンドの最終コーナーを回ってきていた。
私に気付くと右手を挙げ、少しスピードをあげてゴールし、
ゴール付近に経った部員にタイムを告げられると、礼をして、
置いていたタオルを拾い、何かを言ってからこっちに歩いてくるのだった。
肩で息をしながら、その細すぎる手足を大きく振って小走りになり、
私の前に来ると「ごめん遅くなって」と言ってからタオルを広げると、
そこには吸入器が包まれていた。