ジェンガたちの誤算

「パパ?私、うん、まだ?───あ、もう着く?分かったじゃあ公園で待ってるね」

茉莉恵は気のせいか大きめな声を出してそう言うと、
携帯を閉じて私たちのほうを見てからベンチに座る男をにらむようにして見た。

「パパ?迎えに来るの?」

私がそう言うと茉莉恵は黙って頷いた。
それに続いて男はベンチから立ち上がると、公園から出て行った。

「あいつ、さっきからずっとこっち見てたの気付いてた?
 人の恋愛話聞くのもいいけど、もう私たちも男たちから見たら、
 普通に【女】だってこと、自覚したほうがいいよ、それから私、本当のパパいないし」

そう言った茉莉恵はブランコから立ち上がると、横に置いていた鞄を持ち、
中からペットボトルを取り出してそれのフタを開けて飲んだ。

「前島の話もまだだったけど、本当じゃないパパの話もあるわけ?」

彩紗が言うと茉莉恵は振り返って笑い、「それはまた今度」と言って話題を変えた。
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