ジェンガたちの誤算
「やっぱりテスト期間中は誰もいないかぁ」

私が言うと、彩紗は私が持たせた本をパラパラとめくりながら、
「高校生は来週まで続くからね、テスト」と言った。

「じゃあいいや、学食でアイス食べない?」

私がそういうと彩紗は本から顔をあげて、

「陸上部の先輩がたがいたらきまずいけどいなければ」

と言い、また本を見た。

「なんで気まずいの?」

私が聞くと諦めたように本を閉じて顔をあげ、私にそれを手渡して言った。

「え、中学生が学食にいるのが気に食わないらしいよ」

「へぇ~、じゃ私が先に入って覗いてあげるね」

「ももちゃん、陸上部の人分かるの?」

そう聞かれてから自分の発言がおかしいことに
気がついた私は頭をかいて「いや」と言った。

彩紗は「だめじゃん」と言ってから、私より先に歩き出し、
生徒会室の奥にある学食に向かって行った。
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