ジェンガたちの誤算
1998年
優等生の特権とその役目
渡り廊下に張り出されたテスト結果の順位表には私の名前が一番上に書かれていた。
そのときに見かけた雛子の髪の毛は肩の下まで伸びていて、
あれほど短かった前髪を横に流してピンで留めていた。
私に気付くとにこりと微笑んですぐに走り去ってしまった。
私と雛子の順位は1学期と変わらずに1位と2位だった。
5段階評価で体育以外すべて5だった私は母親にPHSをねだり、
クリスマスプレゼントとしてそれを手に入れた。
そのことを知らせるために冬休み中に何度か茉莉恵の携帯に電話をしたけれど、
一度も繋がる事はなく、折り返しもなかった。
お正月気分が嘘のように始業式があり、またすぐに普通の授業が始まった。
3学期の席替えはなぜか行われず、相変わらずの最前列に嫌気が差していたけれど、
成績優秀な私が居眠りをしていても怒る先生は一人もいなかったので、
私はそれに甘え、退屈な授業のほとんどを寝て過ごしていた。