ジェンガたちの誤算
「まぁ、やだよ~おまえさん」
その箱の事情を話すと彩紗が言った。
「私ってそんなに男の子っぽい?」
「いや、確信犯な気がするよ」
「え、レ、レズ?」
「開けてみなよ」
駅に続く長い下り坂で、私はリボンをほどき、包装を解いて中を確認した。
すると厚紙で作られたようなピンク色の箱の中には紙を細長く切ったような
ラッピング材が敷かれ、その中心に6枚のクッキーが入っていた。
「うわ、手作り」
私はそう言ってリボンと包装紙をかばんに入れ、彩紗に1枚それを渡した。
「ウチ毒味すんの?」
彩紗は赤くなった鼻の頭を右手の人差し指でこすりながら言った。
「光栄でございます、でしょ?」
「ううー」
「ホレ、ホレホレ」
私は調子に乗って彩紗にそれを向けて言った。