ジェンガたちの誤算

「無理だって!完全に罰ゲームレベルでしょ、いくらひもじいウチでも食べません」

「作ってくれた人に失礼だよ」

「じゃあお前が食え」

「はい、すいません」

私は降参してクッキーを箱にしまい、鞄の中に入れた。

「それにしてもさ、ウチらはこの先バレンタインとかホワイトデーとか、
 全然縁のない青春を送るんだね、世知辛いね、ももちゃん」

「変な形で縁はあったけどね、てかコキチにあげないの?」

「えっ?ああ、小吉は甘いものダメなんだ、それに」

「ん?」私は彩紗のほうを見て問いかけた。

すると彼女は笑って、

「自分だって慶ちゃんにあげないの?」と私を覗き込んで言った。
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