0度の恋
海村優樹。

ほ―。悪くないじゃん。

って思っている場合じゃなくて!!

私は美月の席を探す。

前は?いない。

後ろは?いない

右は?いない。

左は?優樹。

「あっちゃ―。ウチ窓側の1番後ろだ…。」

美月が言う席を見ると、美月の名前が書いてあった。

「休み時間のとき語れるからいいじゃん!」

「うん。そうだね!」

美月との話を終了し、自分の席へと向かった。

けっこう…見やすい…かな?

そう思ってるとき、となりから香水の匂いがした。

何ッ!この匂いッ!甘すぎじゃない!?

「どうしたんだよ。莉香。」

「どうしたんだよじゃないよ!この匂い甘すぎ!!」

優樹は、クラスの中でも1番運動神経が良く、優しい。

香水もたくさん持ってて、キツイ匂いばかり。

「こ―ゆ―のしかないからしょ―がないじゃん♪」

優しい笑顔で私の目を見ながらしゃべる優樹。

「じゃあ買えばい―じゃん!」

「お金ないし…。」

優樹はため息をついた。

「…もぅ。」

…ちょっとかわいそうだから買ってあげようかな?

私は勉強道具を机の中に閉まって、誰にも見られないようにサイフをポケットにいれ、トイレへ行った。

がちゃ。

私はカギを閉め、ポケットからサイフを出した。

100円…6枚。

1000円…0枚。

…600円で買える香水ってないじゃん。

私はまたサイフをポケットにいれ、教室へ戻った。

「あッ」

教室には先生の姿があった。

サイフ…ばれないよね…?

私は早歩きで自分の席に戻り、バックにサイフを入れた。

ほッ!とした瞬間、となりから声が聞こえた。

「莉香…お前学校にサイフ…。」

「!!」

ばしッ!

自分の手が痛くなるほど、優樹の頭を叩いた。

「いって―!」

「小声で言ったからよかったけど!今ここで言わないでよ―!」

がっしゃ―ん。

慌てたせいか、いすが横に倒れ、私は床に頭をごんッ!と打った。






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