da capo
無理だってレイがいくら断っても、ヒロくんは折れなかった。

どこにそんな意地があったのかと思うほど、頑固に、歌ってって言うのよ。

これにはレイも負けたわ。

少しだけ……と思って当時学校で練習していた短めの曲を歌ったの。

1番歌いやすい曲をね。

これでヒロくんも納得してくれると思って……。

レイはすごく緊張したわ。

だって、ヒロくんは、じぃっとレイを見つめて聞いていたんだもの。

こんな緊張久しぶりだったから背筋がゾクゾクしたわ。



一通り歌い終わっても、ヒロくんはずっと黙ったままだった。

やっぱり下手だったんだ……ってレイがへこたれそうになったその時。
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