da capo
昔ね、レイっていう歌が大好きな女の子がいたの。
そうね、レイは……私が、一番よく知っている人生を共に歩いてきた親友ってとこかしら。
カタカナで『レイ』。
そのレイのお話なの。
レイは歌手を夢見て、親の反対を押し切って上京したの。
田舎じゃあ、そりゃあ上手いほうだったのよ。
だから簡単に歌手になれるって思っていたのね。
年は、そうね……、今のあきひろくんと同い年ぐらいかな。
夢に夢みる乙女よ。
だけどもね、乙女は現実を知っちゃうの。
田舎でちょっと歌が上手いぐらいでプロになれるほど世の中甘くないでしょ?