da capo
同居なんて言っても、そんなロマンティックなもんじゃあなかったわ。

困ってるから助け合う、そんな感じ。

数週間過ぎてもヒロくんは無口なままだし、レイも厳しい稽古に疲れて話をしなかった。

毎日ヘロヘロになるまで基礎の練習をさせられて、空いた時間でバイトをしていたの。

2人の距離は縮まらないかのように思えたわ。





そんなある日、ヘロヘロになって帰ってきたレイに

「レイは……、いつも、どこに行っているの……?」

ってヒロくんは聞いたの。

伸び放題になっている前髪の間から、綺麗な目で、レイを見つめながら。

レイは一瞬ドキッとした。

ヒロくんから、自分のことを尋ねられるのは、初めてだったの。
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